「でも、毎回思うけど雪音も朝から大変だよね……いつも朝は疲れきった顔してるし」
「…あはは…うん」
「まったく、雪音の本当の魅力に気づけないとか、ありえないよ」
変な噂に騙されちゃってさ!なんて言って怒ったような素振りをする流歌ちゃんに困ったように微笑む。
「……ありがとう。そう言ってくれるだけで十分だよ」
「……っ!雪音のことは私が守るからね」
きゃー!と私に抱きついた流歌ちゃんに、私も笑いながら抱きしめ返すと。
目の前に、私よりも背の高い影が映って。
その人は私たちの目の前を歩いて行った。
……なぜか、わからないけど。
それに惹かれて、自然と目で追いかける。
そこには、一人まっすぐ歩いて行く男の人の後ろ姿があって。
黒髪が風に揺れて、後ろから見てもわかる右耳のピアスがキラリと光っていた。
そこから目が離せなくて、そのままじっと見つめる。

