「まじかわいー…俺花染さんと一回でもいいから話したい」
「お前じゃ相手にされないだろ。だって、あの花染雪音だぞ?」
「わかってるよ、んなこと」
私の名前が聞こえてくる度に肩がビクッと上がる。
……うぅ……もう私の話はやめようよ……。
噂が広まっているから、そういう話になるのはわかるけど。
でも、その噂は本当じゃないし……。
あのー、私、みんなが想像しているような人間じゃないです……。
そう思っても直接言えないから困っているのだけれど。
……いや、違う。言えないわけじゃない。
ただ、言っても信じてくれないから……。
ビッチと言われたことだってある。
なんで見た目だけでそう思われちゃうの……とため息をつく。
ふと、視線を廊下に移すと。
そこには一人、見慣れた子がドアに顔を出していて。
……っ、流歌(るか)ちゃん!!
ガタッと席を立ってそこに近づく。

