「…あ、雪音……と春哉」
ふと顔を上げた識くんは私を見ると私の名前を呼んだ。
そしてすぐ私の前にいる春哉くんに目線を移すとあからさまに私の時と態度が違っていて。
それに春哉くんは不満そうな顔をしている。
「…んだよ、しょうがねえだろタイミング一緒だったんだから」
「ふーん」
「……はぁ。じゃーな識」
「おー」
少しだけ会話を交わしたあと、春哉くんは識くんに挨拶すると識くんの前を通って歩いていってしまった。
……私、この二人の会話聞くの好きだなあ。
と思ってこっそりと笑う。
「帰ろ」
「うん、待っててくれてありがとう」
「いーえ」
すると、識くんは私にそう言うと寄りかかっていた壁から背中を外して。
私のところまで歩いてくると、さりげなく手を繋いできた。
照れくさいけど、嬉しくなる。
そんな私を見て優しく微笑んだ識くんは、私の手を引いて歩き出した。

