「識〜っ!」

「おはよ〜っ!今日もかっこいいねっ!」


近くから聞こえてきた足音と高い声。
ビクッとして立ち止まって振り返ると、そこには木村さん達とは違う女の子達がいた。

チラッと隣にいるはずの識くんを見ると、なぜかそこにはもういなくて。

あ、あれ……?識くん……?

さっきまでの進行方向に顔を向けると、そこにはこっちを見て足を止めることもなく進んでいる識くんがいた。

え、え……?明らかにこの子達の声聞こえてたよね……?
どうしたの……?


「え、識……?」

「なに、どういうこと?」


戸惑っているのは私だけじゃなくて、識くんに無視された目の前の女の子たちもだ。

呆然と立ち尽くしていると、ふと識くんはこっちを振り返って。


「なにしてんの雪音、置いてくよ?」

「え…っ、え?」

「はーやーく。こっちおいで」