すると、突然私の手を引っ張って走り出した識くんに、私も春哉くんも驚いてしまう。
ちょ、嘘、こんなのありなの……っ!?
めちゃくちゃじゃない……っ!?なんて思って識くんを見るけど、なんだか少し楽しそうにしていて。
ちらっと後ろを振り向いて春哉くんを見ると、はぁ……と頭を抱えていた。
でもそんな春哉くんは怒っているとかそういうのではなく……どこか少しだけ口角が上がっているように見えて。
もう、訳が分からなくなる。
「し、識くん……っいいの……っ?」
「…いいんだよ。昔の俺を相手してきたあいつなら慣れっこだろ」
「え……?」
慣れっこ……?
そんな言葉を聞いて一瞬疑問が浮かぶが、一つだけもしかしたらと思いついた。
識くんと春哉くんが仲良かった時はこんな感じだったってこと……?
憶測でしかないけど、きっとそうだと確信する。
そう笑う識くんの笑顔は、私が見た事もない無邪気なイタズラっ子みたいで。
……多分、春哉くんにしか識くんのこの笑顔は浮かばせられないんじゃないかな。

