シュガートリック





…でも、次の瞬間。

識くんたちの後ろの方の人影が揺れて。
お題目掛けて走っていた女子生徒が転んでしまった。

……っえ、え!?
突然のことに驚いて目を見開く。
心配が勝ってそっちに目を向けると、ズシャッって音に気がついたのか識くんがその子に振り向いた。

一瞬止まった識くんはチラリと春哉くんを見たけど、少し顔を歪めながらUターンしてその子の方に走っていく。


「えっ!?嘘、識あの子助けに行ったの……!?」


近くにいた女の子の声に、識くんを見る。

その子の言った通り、転んだ子が立とうとしているときに識くんは声をかけていて。

きっとあれは……「大丈夫?」って言ってるんだ。


「さすが識イッケメン……!!女慣れしてる奴は違うわ〜」

「あの子絶対識に落ちたよ」


……違う、識くんは女慣れしてるから助けることが出来てるんじゃない。
あれが、識くんの優しさなんだ。あれが本当の識くんの優しさ。

見て見ぬふりできない人。彼が心から優しい証拠。女慣れとか関係なく。

ドクン、と心臓が脈打つ。