「識〜っ!!!!」
そんな時、少し遠くから識くんの名前を呼ぶ声が聞こえて。
ハッとして声の方に顔を向けると、そこには識くんに向かって手を振っている女の子達がいた。
そ、そうだよね……識くん人気だから……。
「……」
「……?識くん……?呼ばれてるよ……?」
「…うん、ごめん行ってくる」
「……うん」
私と同じように女の子達に顔を向けていた識くんは、無言でそちらを見つめていて。
不思議に思って声をかけると、気が進まないような顔をしていた。
でもすぐに切り替えた識くんは、笑顔になってその女の子たちの方に歩いて行ってしまって。
それに少し、ズキリと胸が痛んだ。
行かないでって、言いたくなってしまう。
でも私にそんな権利ないから……。
そう考えていると、識くんが向かった先でキャーキャーと騒ぐ高い声が聞こえて。
笑顔で楽しそうに対応する識くんは、噂通りの王子様だった。

