……ああ、なにこの感情。
胸がいっぱいで苦しい。叫んでも叫んでもきっと収まらない。


「泣かないでよ。俺、雪音のことは別の意味で泣かせたいんだけど」

「ぅぅ……っ」

「…あ、ちなみに合意ありでね?さすがにその先輩と同じ道は辿らないよ」

「……っ?」


言っている意味はわからないけど、涙が止まらない。
きっと気づかないうちにどんどん溜まっていたんだろう。

毎日毎日誰とも目を合わせないように一点だけを見つめて登校していた日々も。
声をかけられるんじゃないかって不安になりながら生活していた日々も。

全部、私にとって息苦しかった。
そしてこの日々はこれからも続いていくだろうけど……でも、少し心が楽になった。


識くんがいてくれたから。
私……識くんに惹かれ始めてるんだなあ。


「…あり、がとう……」

「……うん、お大事に」


泣いて少し眠くなって、どんどんまた意識が遠のく。


「……何があっても、"また"助けてあげる」


そんな識くんの声は、耳には入らなかった。