「……──…音?雪音?」
周りの声が聞こえずに、突っ伏したまま顔を歪めていると。
私の横から、聞き覚えのある高い声が名前を呼んでくれていたことに気づいた。
ハッとして、軽く顔を上げる。
「……流歌ちゃん」
「……どうしたの?大丈夫?」
そこには椅子に座っている私を、しゃがんで見上げている流歌ちゃんの姿があった。
その声と表情は心配そうで優しくて。
それに心がジーンとする。
「顔色悪いよ?体調悪いの?」
「……でも、頑張らなきゃ」
「辛そうだよ。休んできた方がいいんじゃない?」
「……嫌」
「でも……」
嫌、嫌だ。
休んでくるってことは……保健室に行かなきゃってことでしょ?
……だったら、一日耐えて頑張った方がマシだ。
私が頑張れば、わざわざトラウマの場所まで行かなくても済むのだから。
私の心を読んだのか、少し苦しそうな顔をした流歌ちゃんに申し訳なく思う。

