取り乱している女の人に、動揺していない男の人。
ふと見えた横顔から、左頬が赤くなっているように見えた。
ハッとした私の身体は、勝手に動いて。
その場をUターンして、ある場所に迷いもなく足を進める。
……何が起こったのか具体的にはわからないけど。
見てしまったからには、スルーできない。
もう一度さっきのように階段を降りて、少し歩いたところ。
……私にとっては、嫌いな場所。
その場所に近づくにつれて、どんどん足が重くなっていく。
ここは……私のトラウマでもあるから。
目の前にある『保健室』の文字を見て深呼吸する。
……大丈夫、ここには人助けの用事で来てるから。
ガラッと開けて入ると、保健室の先生は不在で。
勝手に棚を開けて、湿布と袋を探す。
袋には水と氷を入れて縛る。
……ほんと、何やってるんだろう私。自分には関係のないことなのに……なぜか、やらなきゃいけない気がして……。

