シュガートリック





四組、三組と教室を通って、二組の前を通ろうとした時。

ドアから中に人影が見えて、ピタッと足を止める。
なぜか今は、通ってはいけない気がして。
……胸騒ぎがする。


サッと隠れて、少しだけドアから中を覗き込むと。
そこには、男の人が一人と女の人が一人。

私に背を向けている男の人は、黒髪で右耳にピアスが空いていて。
……あれ?あの人……朝の人、かな。

どこか見覚えがあってそう考えていた……その瞬間。


─────バチンッ!


……っ、!?
その男の人は、目の前にいる女の人に思いっきり左頬を叩かれた。
叩かれた音が、廊下にまで響き渡って。
突然のことに、目を見開く。


「……っ、ほんっとサイッテー!!意味わかんないんだけど!!」

「…それを分かってて俺に近づいたんだろ」