ロマンスにあけくれる




「というか、都裄くんってなんでそんなに彼女途切れないの?何か秘訣でもあるなら教えてほしいです」



彼氏ができない人と、彼女ができる人の差は一体なんなのか。それさえ解消できれば、わたしにも念願の彼氏が爆誕するかもしれない。

……でも。



「……僕の声がタイプだったらしい」

「コエ」

「俗に言うイケボなんだって」

「いけぼ」



ちょっとこれは、予想外すぎた。



「なんか、声優?の誰かに似てるらしーよ」

「……な、なるほ、ど?うん、そっか、わたしが時代に追いついてないだけで、そういう理由もあるのか……」

「無理に納得しようとしなくていいと思うけど……」



ここで、初めて都裄くんがわたしに同情的な視線を向けた。

皮肉や嫌味がこもっていないだけまだマシだと思っておこう。



「花穂さんはどう思うの」

「え?」

「僕の声」



不意にそう問いかけられて、一瞬言葉に詰まる。

声なんて意識したことがなかったし、そもそもイケボというのがどこからどこまでなのかがわからない。いわゆるアニメ声というのとはまた別物なのか否か……。



「んっと、……んー、と、綺麗、だとは思う、よ、たぶん」

「なんかごめん」