ロマンスにあけくれる




その言葉に、指先がぴくりと反応した。



「……そうだったら、いいなあ」



なんとなく、原因はわかっていない気もしないから、曖昧な返事になってしまう。



「……都裄くん、そろそろチャイム鳴りそうだから行こっか」

「え?……あ、ほんとだ」



スマホのロック画面に表示されているのは、気が急く音が鳴り始める3分前。



「都裄くんはお昼食べたの?」

「ここに来る前に、手早く済ませてきた」

「そっか。ならよかった」



くしゃっ、と菓子パンの袋を結んで、教室のゴミ箱に捨てようとポケットへとしまう。

雨は、以前さあさあと少し強くなりながら降り続いていた。



「……雨、止むかなあ」



近いと言っても、ダッシュをして学校から家までは5分から10分かかる。

このままの強さで降り続けられたら、明日の自分の体調がさすがに心配だ。


なんてことを、傘を持ってこなかった過去の自分に対して思っていれば。



「……もし」

「ん?」


「…………、もし、放課後まで雨が降ってたら、家まで送る」