「あ、そ、そういえば、今日は髪結んでるんだね」
なんだろう。さっきから都裄くんの墓穴をわたしがフォローするという構図が出来上がってしまっている気がする。
「……今日雨で、結んでないとアフロみたいになるから」
斜め下に視線を落としたまま、纏めている後ろ髪を触る都裄くん。
髪があまり長くないから、ぴょこんとちょんまげみたいになってる。
「……花穂さんのうるつやストレート、ちょっと羨ましかったりする」
「う、うるつやではないと思うけど……。じゃあ、縮毛矯正とかしないの?」
「………結構時間とお金かかるし、面倒くさいなって思って、なかなかやる決心がつかなくて」
「そうなんだ」
柴犬の尻尾みたいに、くるんと内側にウェーブしている都裄くんの後ろ髪が、なんだかだんだん可愛く思えてきた。
「あの、ね。これは別に他意はないんだけど、」
「……?なに」
「わたしは、都裄くんのくるくるウェーブの髪、好きだと思うよ。柴犬の尻尾みたいで、その……か、わいい、と、思い、ます」



