ロマンスにあけくれる




「ご、ごめん……!」



咄嗟に口から出た言葉で、別にバカにしたわけではなかったんだけど……。



「いちお、褒めてくれたんだよね?!ありがと!これからはさっきの笑顔になるよう努めるねっ!」

「いや別に努めなくていい。逆に努めたらダメ」

「ど、どっち?!」



都裄くんの情緒が狂ってしまっている。

目を白黒させて、ぶっすう、と頬を膨らませている都裄くんを見つめるも、全く意味がわからない。



「……たぶん、花穂さんは意識的にしたらもっとひどいことになると思うから、しないほうがいいってこと」

「な、なるほど……。助言のお言葉ありがとうございます」



まだ若干不貞腐れ気味の都裄くんを見て、これは話題を変えた方が良さそうだと急いでハンドルを切る。



「き、昨日から思ってたんだけど、都裄くん家って猫飼ってるの?」

「うん、まあ」

「綺麗な白猫だよね。青と緑のオッドアイも珍しいし」