ロマンスにあけくれる




今まで家族しか並んでいなかった画面にひとつ増えて違和感もあるけれど、それ以上に嬉しさが勝る。



「……ふふ、」

「……?なに」



ぽこん、と続けて送られてきたスタンプは、これまた猫。これで笑わせにきてないとか、ある意味都裄くんには笑いの才能があると思う。



「……ありがと」

「……は、」



わたしの唐突なお礼の言葉に、呆気にとられる都裄くんだったけど、なぜかぱちくりと瞬いたのち、ふいっとそっぽを向いてしまった。



「え、な、なんで明後日の方向むくの」

「…………、花穂さんがわらうから」

「わたしが笑ったら、みんなそっぽ向くの?!」



どんな特殊能力?!と驚いていると、そうじゃないと睨まれた。



「……花穂さんって、笑い方、微妙に違うよね」

「え、そうかな?」

「そーだよ。……今のやつの方が、親しみがあるっていうか、……なんか、かわいい」

「へ、」



ぽそぽそと落とされた言葉と、いまだ交わらない視線、それに髪の隙間を縫って見える耳が赤くなっているのがわかって。



「……それは、都裄くんが、ってこと?」

「は?怒るよ???」



条件反射で出た言葉が、さっきの比じゃないくらいのマジトーンで怒られた。