ロマンスにあけくれる




「……?」



都裄くんのでなければ、一体誰のだったんだろう。


都裄くんを無視して買いに行くべきか悩んでいたら、隣にすとんと腰掛けられてしまって、渋々わたしも腰を下ろす。



「……ところで、都裄くんはどうしたの?わざわざこんな場所まで」

「………や、花穂さんに会いに来たに決まってるじゃん」



じとおっとした目で見られてしまった。


だ、だって、なんだか都裄くんからは好きという気持ちが微塵も感じられなくて……。

恋人候補、って言うよりは、友達みたいな感覚で接してる感がある。



「で、では、わたしに何用で……」

「……そういえば、連絡先聞いてなかったなと思って」



そう言って、ごそごそと懐からスマホを取り出した都裄くん。


その一連の言動に、ぱちぱち、瞬きをして。



「……交換、していいの?」

「え?」



きょとん、と都裄くんが首を傾げた。