「待ってた」

沢部くんはわたしたちの背後に声をかけていく。

後ろにいるのは……しずちゃん、だよね?

戸惑いつつ振り向くと、彼女はなぜかうつむき、表情を曇らせていた。

ふたりの視線が重なった瞬間、沢部くんは持っていた紙袋をしずちゃんに差し出す。

そして、そのまま冷たい声で囁いたの。別れてください、と。