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「もうほんとにびっくりしたよ〜。ヨキたちの前でいきなりシャノンが大きくなったんだから〜」
「すっかりお姉さんって感じ。西華国の15歳はもう少し子供っぽかったけど、クア教国はまた全然ちがうね」
「ハオとヨキが、昨日よりも小さく見える……」
「それは当たり前じゃん。シャノンが成長したんだってば」
「分かってるけど……」

 皇城からタウンハウスに帰ってきたシャノンは、まだ慣れない自分の体を持て余していた。
 
 帰ってきたときは屋敷中大騒ぎだった。それもそのはず、昨日までは小さく幼かったシャノンが、それなりに大人びた姿になって戻ってきたのだから。
 ダリアンが「毒素による弊害で体が縮んでいた」と適当に理由を付けて説明したことで騒ぎは収まったが、そのダリアン自身も驚いていたのは言うまでもない。

 皇城を出る前、青年長に会ってシャノンの身に何が起きているのかを聞いたところ……案の定、聖女の刻印が解除されたために起こった変化なのだという。
 
 クア教国でも聖女何人かの刻印を解除したところ、実年齢にふさわしい姿に戻ったそうだ。反動は一気に起こるのでこれ以上大きくなることはなく、つまり今の状態こそ15歳のシャノン本来の姿だった。

「ところでシャノン。昨晩の夜会からお前が正式なルロウの婚約者だという話が流れているが、これはデタラメの噂か?」
「……そうだ。そのことについて、まずルロウに言おうと思っていたんです」

 談話室に集まって話していたシャノンたち。しかし、ルロウの姿だけがない。

「フェイロウなら中庭にいるはずだよ。煙管を持ってたから、外で吸ってるんじゃないの」
「中庭……少し、話してきます」

 シャノンは立ち上がってダリアンに一言断りを入れると、談話室を出ていく。
 体が成長したからだろうか。骨や筋肉の痛みはあるのに、歩くと随分身軽に感じた。