「……俺さ、なぎさにしか目がない病気なの。だからなぎさにだったら何されてもうれしいし、嫌なんてことひとつもないよ」
あ、ダメだ、泣いちゃいそう。
「ね、あるんでしょ? くれないの」
やっと。
……やっと、湧いてきた。
ちゃんと、聖里くんに愛されてるっていう実感。
わたしで、いいんだね。
隣に行って、いいんだね。
「これ……結構、自信作」
恐る恐るカバンの中からかわいいラッピングを取り出した。
愛を込めたフロランタン。
口に合うかな?
あわなくても……聖里くんなら、おいしいよって褒めてくれそうだな。
「ここで食べていい?」
「……う、うん」
包装を丁寧にほどいて、フロランタンと聖里くん、ご対面。
「うまそ」って笑ってくれちゃうから、またうぬぼれちゃうよ。
……ううん。うぬぼれなんかじゃ、ないんだ。
わたし、もう大好きなひとの彼女になったんだから。
全部、聖里くんが与えてくれる無償の愛。
「……おいし。天才だね、なぎさ」
ほらね。
そんな柔らかい笑顔で、暖かい言葉をかけてくれちゃうの。
すごいよ、聖里くん。
毎日、毎秒好きが更新されていく。
もっともっと、あなたの隣独占させて。
聖里くんも、わたしのことだけ見てて。
「……ひじりくん、大好きっ」
そういって抱き着けば、彼は困った顔をして笑う。
翌日、この様子をこっそり目撃してしまった一部の生徒がきっかけとなって、『榛名聖里は彼女の前だとよく笑う』というニュースが学校中に広まることになったのは、まだ知らない。
大好きだからね。
この気持ちだけは、誰にも譲れない。
もう、我慢しないよ。
……今度はわたしの番。
聖里くんの隣、わたしだけのもの。
END



