分かりやすくうろたえたわたしを面白がって、聖里くんがさらに畳みかけてくる。
「いいの? もしかして、みんなに見られながらキスしたい願望とかある?」
ないから。
断じて、ない!
「じゃあ観念していいなよ」
「……」
わたしは諦めて、吐くように言った。
「……わたし、彼女だけど、堂々とできないから」
「うん?」
「今日だって、他の子にいいなあって思いながら、ただ見てただけ」
バレンタインなんていらないとまで思った。
それくらい、羨ましかった。
普通、羨ましがられるとしたら聖里くんの彼女になれちゃったらわたしのほうだよね。
「……わたしも、ひじりくんにお菓子あげたかった」
そこまで言って、聖里くんは「はあ」とため息をついた。
やっぱり……うざかった?



