「でも、知ってるでしょ。俺が一個も受け取ってないの」
「……うん」
知ってる。
だけど、面白くなかった。
わたしですら渡せてないのにって。
わたしは彼女なんだぞって。
……堂々と割り込んでいけるくらいの度胸があれば、よかったんだけどさ……。
「それでも不満?」
「……いや、」
わたしが不満なのは、そこじゃない。
彼女のくせに、堂々とお菓子の一つも渡せない自分の未熟さが嫌だった。
今も、それを察してほしいと思ってる。
……めんどくさいよね。
「言って」
「……言いたく、ない」
こんな情けない姿、見せたくない。
俯いて涙をこらえていたら、聖里くんが足を止めた。
「言わないなら、ここで口塞ぐよ?」
「……っ」
そ、外は……ダメでしょ。
さすがに。



