「おーい。そこの人気者! こっちも手伝って」 「はいはい、今いく」 文化祭まであと三日と迫った水曜日。 俺、市姫(いちひめ)千悠(ちはる)は生徒会のメンバーにこき使われていた。現在、看板を作っている最中である。 「あー……ペンキ、なくなったから取りに行ってくるわ」 「りょーかい。俺も一緒に行こうかな」 同級生で生徒会長の蓮見(はすみ)がそう言って突撃してきて石頭なのかとても痛い。思わず「イッタいんだけど」と声に出たわ。 作業場の生徒会室を出て、ペンキなどが置いてある美術室に向かう。