イケメンなのに超ヘタレな残念男子と、無自覚な隠れモテ女子の恋の話。




「前売りチケット販売組も好調だし、当日楽しみだ」


 高校最後の年、三年生はほとんどが食物バザーだ。私たちのクラスも食物バザーで希望は喫茶店を選択したのだけど、くじ引きで丼もののお店になってしまった。それから考えに考えて【スタミナ丼】を作ることになったのだ。

 味が決めるのは遅かったけど……



「そういえば、桜さん。市姫くんと当日は回るの?」

「……いや。多分、回らないと思う」

「まじ? 付き合って半年は経つよね」

「うん……」


 私は、人気者である市姫(いちひめ)千悠(ちはる)くんと付き合っているはずなのだが……一度もデートをしたことがない。
 お昼ご飯を一緒に食べるくらいで、本当それだけだ。