「あっ、市姫くん。ちょっと待って」


 後ろから声をかけてきたのは、杏純ちゃんのクラスメイトの女の子だった。


「……え?」

「これ、桜さんの分。教室いたし、外に行かないかなって思って買ってきたんだけど……よかったら市姫くんも食べて」


 ビニール袋には、焼きそばとか唐揚げとかのおかず系とクッキーなどの焼き菓子の袋が入っていた。


「あ、ありがとう」

「市姫くん、桜さんのこと泣かしたら許さないからね。私、桜さんのこと友達として好きなんだよ。だから、市姫くん。イケメンだからって容赦しないよ」

「うん、わかってる」

「ならよろしい。じゃあ、行っといで」


 女の子に背中をバンッと結構強めに叩かれ、俺は彼女を探しに行った。