イケメンなのに超ヘタレな残念男子と、無自覚な隠れモテ女子の恋の話。





 私と千悠くんが出会ったのは、高校一年の秋のことだ。当時も文化祭前だった気がする。


「……一緒の班だね、よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」


 ただ普通の挨拶。挨拶してこの時は終わりだった。
 違うクラスだったけど、カラーが同じで横断幕を作るのに一緒の班になっただけ。

 それから、絵の構成を考えたり買い出しをしたりして“同じ班の人”から“話をする同級生”になった。けど、かっこいい彼は有名で住む世界が違う人という認識は文化祭が終わっても変わらなかった。