控室から出ていつも昼ごはんを一緒に食べている中庭に向かう。すると、男子の声が聞こえて千悠くんじゃないと思って引き返そうと思って歩き出す。
「……ねぇ、千悠くん。彼女とは回らないんでしょ? だったら今日こそ一緒に回ろうよ〜」
千悠くんと、女の子の声だ……
「は? なんでだよ」
「だって、デートすらしたことないって。なんで彼女と付き合ってるの? じぶんが引き立てられるから、とか?」
「それは――」
女の子が甘えた声で、そう言う。千悠くんはなんて答えるのだろか。その答えを聞くのが怖くて走って逃げるように空き教室に入った。
結局は自分にただただ、自信がないだけだ……



