ヴァイスさんの気落ちした声に、急いで否定した。
「いえ、そんなことありません!逆です。あまりにも綺麗なお菓子なので、一人で食べるよりヴァイスさんと一緒に食べたかったんです」
素直な気持ちを口にしただけなのに、なぜかヴァイスさんは目を見開く。
「あ…すいません。もしかしてイタい女と思いました?…えっ?」
なぜか、ヴァイスさんにいきなり抱きしめられてた。
しかもぎゅうぎゅうに力一杯だから、普通の女性なら背骨折れてるかも…なんてくだらないことを一生懸命に考える。
ドキドキなんて、しちゃいけないのに。
この逞しい胸のなかが心地いい…だなんて、思ったらいけない。
「違います……アリシア……」
「はい」
「……私は……」
ヴァイスさんがなにか言いかけた瞬間、甲高い声が間近から聴こえてきた。
「あらあら、ヴァイス殿下とブルームさんではありませんの。奇遇ですわね」
いつの間にか隣のテーブルに、たくさんの侍女を引き連れたリリアナさんが鎮座ましていらっしゃいました。



