龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?


でも、あたしは納得いかなかった。
かつて愛し合ったはずのヴァイスさんを、どうして殺そうとしたのか…?しかも、騎竜のシルヴィアまで巻き込んだなんて。

あたしはつい、彼女を問いただしてしまう。

「メローネさん…なぜ?なぜヴァイスさんやシルヴィアの命を…?」
「…ふふふ、そんなの…決まってるじゃない。ヴァイスはわたくしを愛さない、と言ったの…愛されなくてはおかしいわたくしが…だから、いらなくなったの。竜騎士だから、ドラゴンも一緒に死ねば寂しくないでしょう?わたくしは優しいから…ふふふ」

先ほどまで暴れていたメローネさんは、恍惚とした表情で語りだした。

「キルシェもわたくしを怯えるように見るから、言うことを聞かせるために叩いたの。躾よ。子どもは動物と同じだから、きちんと躾なきゃね…ああ、鞭を使うのもありかしら」

メローネさんはだんだんとヒートアップしていく。彼女の自分勝手な主張が続いた。

「わたくしはこんなに美しいのよ…誰からも愛されなきゃおかしいでしょう?わたくしは王太子妃なのよ…バイキングたちは皆、わたくしを愛してくれたわ。ベッドの中でも誰も彼も素晴らしい女性と称えてくれたの……この国の最高の女性だと。今の国が間違っている。いずれ支配が入れ替わったら、女王にしてくれる…と。なのに、なぜ!なんで、わたくしがこんな辱めを受けねばならない!離せええぇ!!」

わあああ!と奇声を上げるメローネさんだったけど…夫であるアンテルム殿下がそっと彼女を抱きしめる。引っ掛かれても噛みつかれても、彼は彼女を離さなかった。