龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?



「よし、バーミリオン…行くよ!」
《ハイよ!》

あたしとバーミリオンは、バイキングのドラゴン船目指して急降下。当然見張りはすぐに見つけて、警告を発する。
剣を突きつけてからメローネさんの顔をあらわにし、海から落とすぞ!アピールをしてくる。

「バーミリオン!」
《おう!》

バーミリオンがファイアブレスを吐き、船尾から燃やし始める。次にリリアナさんが乗ったイッツアーリが暴風を起こし始めた。

強風を受けた帆船であるドラゴン船は、為す術もなくるくると回り始める。それでもバイキングたちはメローネさんを船首やぐらから突き落とした。

それは、待ちに待った瞬間。

メローネさんが落ちてすぐに海面が盛り上がり、シードラゴンとザラードが飛び出してきた。

「今!」

海面ギリギリだったけど、ザラードはなんとかメローネさんの身体をキャッチ。シードラゴンはそのままぐんぐんと上昇し、バイキングたちの手が届かない高さまで飛ぶ。

おまけの置き土産でシードラゴンは海面に大渦を起こし、くるくる回るドラゴン船をさらに激しく回転させた末に転覆させた。

ほっとした瞬間、ガキン!と鋭い音が響く。
ハッと振り向けば、ヴァイスさんの槍があたしを矢の飛来から護ってくれていた。

「アリシア、よくやりましたね。ですが、首領がまだ健在です。気を抜かないでください」
「はい!」

ヴァイスさんが視線で示した先には、転覆した船の上に仁王立ちする体格のいい完全武装の男がいた。

大太刀を提げ弓を持っていたから、あたしに弓を射ったのもそいつだろう。