《ずいぶん楽しそうな事態(こと)になってるな》
また、聴き慣れない“声”が聴こえた。
振り向けば、透明な水色の鱗を持つ細長い胴体と小さな2対の翼を持つシードラゴンが浮遊していた。
その背中には、ザラードの姿が。
「ぼ、ぼくも!シードラゴンと騎竜の契約ができたし、古代竜に認められたよ。竜騎士として、アリシアを手助けしてくれ…って頼まれたんだ!だから…頑張ろう」
ザラードが片手を挙げて握りこぶしを作る。少しだけ震えてるけど、頼もしく成長したなって思う。
「ありがとう、リリアナさん、ザラード。イッツアーリとシードラゴン。みんなが来てくれたなら百人力だよ」
炎のファイアドレイクと風のドラゴンのバハムートと水に強いシードラゴン。そうなれば、おのずと作戦は決まった。
「……やつらはまだ高高度にいるあたしたちの存在に気付いてない。だから、今から言う作戦がベストだと思う」
一番大切なのは、メローネさんの安全な救出。おそらく他の捕虜は載せてないから、叩くならば躊躇なくしなければならない。
それでも。なるべく命を奪いたくないのは甘いかもしれないけれど。
命は、奪えば奪うほど禍根が残る。憎しみの連鎖が増えるだけだ。



