「はあーっ!」
ヴァイスさんが手にした槍でバイキングの斧を叩き落とすと、そのままチェンメイルの隙間を狙い攻撃。バイキングは倒れ伏し、次に来たやつはシルヴィアの飛翔でかわす。弓矢の攻撃もシルヴィアと息の合った動きで完全に交わした。
どうやら彼は指揮官や身分の高いバイキングを狙ってるみたいだ。
(メローネさんは……)
あたしは人質になっているというメローネさんを探す事にした。でも、20隻分のドラゴン船にいた海に浮かぶ人たちをいくら見渡しても、それらしき姿はない。
(一体どこに……まさか、ブラフだった?でも、ヴァイスさんが3日前に姿を見たと言ってたし…)
「……まさか!」
ハッ、となったあたしはバーミリオンに頼んだ。
「バーミリオン、お願い!今から全速力で飛んで!!」
《お、おう!》
そして、ヴァイスさんに声の限り叫んだ。
「ヴァイスさん、今から飛んできます!おそらくメローネさんはとうに沖に!!」
ヴァイスさんは指揮官だから、この場を離れるわけにはいかない。だったら、自由に動けるあたしとバーミリオンが行くしかないだろう。
(この海流と風だと…おそらく針路は……あの島か)
頭の中に海図と地図を思い浮かべる。おばあさまに徹底して教え込まれた知識を、今こそ活用する時だ。
「バーミリオン、行くよ!」
《おう!》
数度羽ばたいたバーミリオンは、グングン加速していった。



