龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?


《オレ様のわがままを…なんでもか?》
「うん、もちろん…とはいっても、非現実的なものや倫理に悖るものは無理だけど」

うんうん、とうなずくけど、一応念押ししておいた。
すると、バーミリオンはようやく羽ばたきを止めて振り向いてくれる。

《じゃあ……ウゴル食わせろ》
「うん、ヴァイスさんに頼んでおく(ヴァイスさんごめん)」
《あのバカ女をしばけ》
「うん、うん…えっ?(バカ女って誰?)」
《オレ様専用の家を建ててくれよ》
「うん…ヴァイスさんに頼むね…(ヴァイスさん収入なくなるわ…)」
《かわいい恋人ほしいぜ》
「うん…善処します…(メスのファイアドラゴンってどこにいるんだろ?)」

わがままというより、もはやバーミリオンの煩悩披露会になってる。

《……アリシアの騎竜にさせろよ》

何十ものくだらないわがままのあと、ようやくバーミリオンはそう言ってて。あたしは、思いっきり頭を縦に振った。

「もちろん……!あたしの騎竜にはあんたしかいない。あたしには最高のドラゴンだから」
《……本当かよ?》

疑いの目を向けられ、あたしは一生懸命バーミリオンをヨイショした。

「本当だよ!凛々しい顔つき、精悍な眼差し。強そうな身体に立派な翼。最高!イッツアーリもシルヴィアも目じゃないね!」
《そ、そうだな…オレ様もそう思うぜ、わっはっは!》

バーミリオンはますますナルシストぶりに拍車がかかったらしい。めちゃくちゃ得意げだった。