龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?


途中の平原では案の定、ハワードのヤークの脚が止まっていた。
臥龍の儀ではトラブルは自己解決が基本。悪いけど、スルーして通り過ぎた。

「じゃあ、ぼくはこっちに行くから」
「うん、頑張ってね」
「アリシアもね」

ザラードはヤークと川沿いの方へ向かって行った。

ドラゴンは種類毎に棲息地が違うから、狙った種ごとに最適な場所をあらかじめ選んでそこを中心にドラゴンを探す。でなければ広大な古の森で3日間という短い時間で探せない。

当然、数が少ない高位のドラゴンほど人気が高く、希望が被ることもままある。その場合先着順というわけでなく、いかにドラゴンに選んでもらうかが肝心。
逆に欲にかられず下位のドラゴンを選んでおき、絆を深めて上位種に進化させるという手段もあるけど。
どちらにしても難しかった。

「リリアナさん」
「やはり、アリシアさんはあのドラゴンを…ですのね。わたくしはバハムートを狙いますわ!」

森の入口でしばらく休んでいると、後からやって来たリリアナさんはそう告げて岩場を目指す。確かに、バハムートは高い場所が好きだからなあ。

(やっぱりリリアナさんはお父様のイッツアーリを意識してるのかな)

女侯爵となることが決まったリリアナさんは、少しでも父のクロップス卿に近づこうとしてるんだな。