龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?


「ごきげんよう、リリアナ様、アリシアさん」

訓練場にマリナさんとカリンさんも集まった。
彼女たちもリリアナさんと同じような格好だ。 
得意武器はマリナさんが槍。カリンさんがロングボウ。

「いよいよですわね…なんだかワクワクしますわ」
「あたくし、竜騎士になれたら結婚式を挙げますのよ」
「え、もう!?」

カリンさんがとんでもない発言をするから、緊張感などどこ吹く風。少女たちはきゃあきゃあと盛り上がった。

「カリンさんは早く子どもがほしいとおっしゃられてましたものね」

リリアナさんがそう言うと、カリンさんは気まずそうな顔で彼女に訊ねた。

「申し訳ございません、リリアナ様…お父様がお気の毒な事になられてるのに…あたくし…」
「なぜですの?おめでたいことではありませんか。わたくしとお父様に遠慮などする必要はございませんのよ?」

微笑んだリリアナさんは
「結婚式にはわたくしもお呼びくださるかしら?」
と言い、カリンさんも
「はい、ぜひご招待させていただきますわ」
と応じる。

「マリナ様、アリシアさん。皆様もぜひ招待させていただきますわ」

カリンさんが嬉しい申し出をしてくれたから、あたしも彼女の手を握りしめて答えた。

「ありがとう!喜んで出席させてもらうね」
「ならば、皆様全員竜騎士にならねばなりませんわね」

マリナさんがそう付け加える。

「一人だけ竜騎士になれなかったら、当日顔を合わせた時に気まずくありません?」

彼女らしい励まし方に、皆苦笑い。

「そうですわね…殿方はわかりませんが、淑女は全員竜騎士となって女性だから…というハンディが関係ないことを知らしめましょう!」

リリアナさんがそう言い、みんなで勇ましく拳を振り上げた。