龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?


この2週間はいつもと変わりなく過ごしてきた。
朝、4時に起きてすぐ竜騎士団の厩舎でドラゴンのお世話をし、自主練の後アプリコット城で朝食。すぐに訓練場へ行ってバーミリオンと訓練。養成学校の授業の前後にある自主練でみんなの指導をして、それが終わったらアプリコット城で夜ごはん。勉強と自主練のあと、竜騎士団の厩舎でまたドラゴンのお世話。そして夜11時に就寝。

忙しくしていれば、いちいち考えなくて済んだから。
ヴァイスさんが無事かどうか…を。

リリアナさんも同じ気持ちだったと思う。
いつも以上に訓練に集中し、鬼気迫る様子だったから。
おかげで、リリアナさんの飛竜技術はかなり向上した。今では訓練場を何周かできるまでの実力を見せるようになったんだから。

「大丈夫です。きっとお二方とも無事ですわ!」
「そうですとも。便りがないのは良い便り、というではございませんか」

マリナさんもカリンさんも、気を遣って慰めてくれる。せっかく一生一度の念願のデビューの場なのに、あたしのせいで重い気持ちにさせちゃいけないよね。

「そうだね。うん、ありがとう!元気出たー!!」  

むん!と両手を挙げて元気出たアピールをすると、周りの淑女方からクスクス笑われてしまいましたわね…。
そうこうしているうちに、メグが戻ってきた。

「遅くなってすみません、アリシア様。ティアラもいただいてまいりました。喉を潤したらつけましょう」
「ありがとう、メグ」

メグが手にしたティアラはケースに入っていて、キラキラ輝いてる。デビュタントの女性のみ、身につけることを許されたティアラだ。
これを身につけると、いよいよ女王陛下への挨拶が近い。緊張が高まってきた。