オーパン・バルが開催されるのは、首都にあるドラグーン城最大のアッパーホール。数千人規模が収容可能な大広間だ。

7月の社交シーズンの半ば、主に成年である16歳となった未婚の男女が参加する。
女王陛下主催の国内最大の舞踏会であり、王侯貴族や富裕層の子女が招待される。
ここで女王陛下への挨拶が成り、オープニングセレモニーにも等しいデビュタントダンスを披露して初めて、一人前の紳士淑女として認められ、成人と同時に社交界デビューも果たす。

踊るのは事前に申請したパートナーのみ。
大抵の場合婚約者や恋人であり、すでに決まった相手を披露する場にもなっていた。



女性の控え室で壁の近くに立っていると、やっぱり壮観だ。白いドレスばかりだけど、デザインが全然違う。
皆、侍女は1人ずつつけていいことになっている。ドレスや化粧等になにかあったら直してもらうため。あたしもメグについてきてもらってた。

「アリシア様、お飲み物は…」
「そうだね。ちょっともらおうかな」
「では、少々お待ちくださいね」

メグが離れて、ふう…とひと息つくと、「アリシアさん」と呼ばれたからそちらを見れば、ゴージャスなフリルのドレスを身に着けたリリアナさんだった。

もともとプラチナブロンドとゴールドの瞳というお姫様のような美貌だったから、ボリュームある白いドレスがとてもよく似合っている。

「リリアナさん、すっごく綺麗!さすがだね」
「ふふ、ありがとうございます。アリシアさんも可愛らしいですわよ」

ついついはしゃいでしまったあたしを、リリアナさんは微笑ましそうに見てくれました。