「あ〜、食った食った」
その後さらにステーキ、大盛りシチュー、魚のまるごとフライ、チーズ盛り合わせにフルーツ盛り合わせ…などなど。見てるこちらが胸焼けしそうなメニューを平らげたおばあさまは、細い木の棒で歯の間をほじってる。
「で、おばあさま…なぜこちらへ?あちらの守護は?」
もう一度さっきの質問を繰り返すと、シーシーと妙な音を出してたおばあさまの口から意外な理由が語られた。
「ん、だってアンタはそろそろデビュタントだろ?色々必要だからアタシが来たんだよ。あっちの守護は他の古代竜に任せてきた」
「え?」
「ま〜ドレスは用意したみたいだけどな。アクセサリーとかジュエリーとか、アタシの娘時代のでよかったら使いな」
ほらよ、と食堂のテーブルに無造作に広げられたアクセサリーの数々…。なんかきらびやか過ぎて現実感がないくらい、ひとつひとつが見事なものだった。
「えっ……こ、これ本物のダイヤモンドですの?」
リリアナさんが目の前にあるネックレスを見て、驚愕の表情。高価なジュエリーを見慣れた侯爵令嬢ですら、驚くシロモノって…?
見てみれば、ゴールドの地金に幾重もの彫金を施し、3センチほどのダイヤモンドを中心に様々なカラーのダイヤモンドが散りばめられている。身につけるだけで肩が凝りそうだ。
「あー…そうだな。なんか、宝石商が売りつけてきたから小遣いで買ったわ」
「……え!?これ、貴重なブラウンダイヤやブルーダイヤ、イエローダイヤ、ピンクダイヤまでありますのよ?しかもひとつひとつ輝きが素晴らしい…これ一つで小さなお城が買えるほどの価値がありますのに…」
「あー…まぁ、母ちゃんの実家が腐るほど金があったからなー」
カラカラ、とおばあさまは快活に笑ったけど。
お小遣いで小さくてもお城が買えるって…金銭感覚どうなってるんだろう。



