夕食を食べた後も遊び続けたキルシェちゃんは疲れたのか、眠ってしまった。
令嬢方もさすがにぐったりとしてらっしゃる…。
「子どもって…こんなに体力あったんですのね……」
「わたくし…子育てする自信が無くなりましたわ…」
プレイルーム(遊戯室)でカリンさんもマリナさんもぐったりとソファにうつ伏せて、心身ともに脱力状態。やっぱりあたしだけじゃなかったんだな…としみじみ感じ入りましたよ。
「では、私が寝室に連れていきますね」
クスクス笑ったヴァイスさんが抱き上げると、キルシェちゃんは目を擦り彼を見上げる。そのまま手を伸ばしてシャツの襟を掴むと、なぜかあたしの方を向き呼んできた。
「ヴァイスお兄ちゃん、アリシアお姉ちゃんと一緒に寝る!」
(え…ええっ!?)
「それは、困りましたね」
ヴァイスさんが苦笑いをしてこちらを見た。
「アリシアはどうしますか?私は構いませんが…」
「む、無理です!キルシェ殿下…どちらかだけではだめですか?」
彼のことを好きだなんて自覚してしまった今、キルシェちゃん越しとはいえ一緒のベッドで…だなんて。心臓が爆発する自信がある。
たぶん、ヴァイスさんにとってはどうでもいいだろうけれども…。
なのに。
「や!お兄ちゃんとお姉ちゃん一緒でないとヤダああぁ!!」
キルシェちゃんは顔を真っ赤にしながら泣き始め、手足をばたつかせる。まさに火が点いたよう。
「う……わかりました……」
こうなったら、自分のプライドも恥も捨ててやる!と腹をくくった。
「アリシア、気合い入れすぎですよ」
なぜか、ヴァイスさんに笑われてしまいましたがね…。



