「ヴァイス殿下、アリシアさんのデビュタントについて…一体どのようなおつもりですの!?」
「そうですわ!大切な恋人ならば、エスコートしてともに出席すべきではございませんこと?」
「ダンス練習もお支度もまだ…とは。オーパン・バルまであと1ヶ月もありませんのよ。もしやアリシアさんをデビューせないおつもりですか!?」
わぁー…アプリコット城のエントランスホールで、ヴァイスさんを3人の令嬢方が囲んでる。モッテモテだね!と現実逃避したくなるけど、事実はそう甘いものではなく……彼が一方的に詰め寄られてる。
「あのー…皆さん、あたしなら別にデビューできなくても…!?」
あたしが止めようとそう言えば、ギラリ!と殺気立つお三方の目が光ってる…!恐ろしや…!!ズカズカと歩いてきた令嬢方に、今度はあたしが取り囲まれた。
「アリシアさん!有耶無耶になさってはいけませんわよ!」
「そうですわ!殿方には甘くしてはいけませんのよ。こちらが手綱を握りコントロールせねば、長い結婚生活は上手く行かない…とお母様がおっしゃってましたもの」
「こういったことはきちっとすべきですわ!アリシアさんの将来にも関わる重大ごとなのですわよ!」
いや、もうすごい迫力。ひとりひとりは可憐な貴族令嬢そのものなのに…3人揃うとまるで戦士のような迫力。勇ましさ満点ですね。
……というか、マリナさん。あなたのお母様…すごいことおっしゃってますね…!?



