龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?


対する竜騎士のヴァイスさんは、あたしより頭ひとつ以上高い長身。さっき助けられた時にわかったように、細身に見えても鋼のように引き締まった体つき。王国を護る竜騎士に相応しく、鍛え上げられた筋肉をまとっている。

白い肌に白銀色の艷やかな長髪を後ろでゆるく束ね、卵型の顔には優しげな水色の瞳と高い鼻に綺麗に弧を描く唇。こんな綺麗な男性もいるんだ、と思わず見とれてしまうくらい美しいひとだった。

でも、やっぱり。よく見ればウズの毒にやられたからか、わずかに頬がこけて顔色も悪い。

「ヴァイスさん! まだ病み上がりなんですからこんなところに居ちゃだめですよ。ほら、ベッドに戻って休んでください」
「私なら大丈夫ですよ」
「またそんな事を言って。顔色が悪いですよ!きちんと休んで回復させないと、ここから出してあげませんからね?」
「わかりました。わかりましたから……背中を押さないでください。落ちそうですから」
「……あれ?」

ヴァイスさんがもっと顔色が悪くなっていたのは、あたしが押し出しすぎて丘から彼を落としそうになっていたからだった。

「……ご、ごめんなさい!」
「いえ、落ちなくてよかったです」

あと5センチ押し出してたら、確実に彼を落としてましたね…。すみません。