そして、これからだ。あたしがずっと抱いてる秘密を明かす時が。

ゴクン、と唾を飲み込むと、乾いた唇を舐めて湿らせから口を開いた。

「……実は、あたし……おばあさまの本当の家族ではないんです」

ピクッ、とヴァイスさんの手が反応して、怪訝そうな声が降ってきた。

「それは……どういった事情で?」
「おばあさまとは、血が繋がってないんです」

告げた事実はズン、とあたしの胸を重苦しくする。石に潰されたみたいに。

「おばあさまの騎竜であるセシリアが教えてくれました。あたしは、渓谷沿いの道から落ちた馬車の中にいて、唯一助かった生き残りだ……と。赤ん坊だったあたしは、様子を見に来たセシリアの足にしがみついて離れなかったそうで……観念したセシリアは、あたしをおばあさまのもとへ。血まみれで虫の息だったそうですけど…おばあさまのおかげでこうして生き延びることができました」

胸元にある、大きな傷痕。おばあさまが魔術で止血してくれなかったら、とっくに亡くなってた。

「だから、あたしは絶対おばあさまの意思を継ぎたいんです。赤の他人のなんの縁もないあたしの命を救い、ここまで育て鍛えてくださった。そのご恩に報いたい!それには竜騎士になることが必要なんです」

おばあさまが大切にしてきた辺境の地。おばあさまは年齢が年齢だ。あんまり考えたくはないけど、いつかお別れの日が来る。その時に笑って大丈夫と言えるように、辺境の地を護れるシステムを作りたいんだ。