「すみません。私にとって当時の正直な気持ちを一方的に告げてしまうので、アリシアにはつらいかもしれません。それでも聴きたいですか?」
一旦話を打ち切り、ヴァイスさんは改めて確認してきた。じっとあたしの顔を見つめてくる。
それは、あたしにとってたしかに辛い。2人の幸せそうな姿を想像するだけで胸がズキズキ痛むし、メローネさんにムカムカする。
でも。
辛いけど……。
あたしはコクリと頷いた。
「それでも。むかし、ヴァイスさんがなにを経験したのか、どう思ったのか。あたしはなるべく知りたいんです」
あたしが正直に答えると、ヴァイスさんはあたしの手に自分の手を重ねて握りしめてくれる。それだけで、不思議と安心できた。
「ありがとう……確かに、私はメローネとお付き合いしていました…そう、確かに思っていました。
私が竜騎士となり、多忙となった時期と重なりましたので、なかなか逢える時間が取れなかったのは事実です。その頃、バイキングの襲撃や略奪が横行していましたから、騎士と協力し撃退していたのです。
半月帰れないこともザラでした。
それでも、久しぶりに会えばメローネは私を癒やし暖めてくれました。その間は楽しかったし、幸せでした……メローネが、実は兄上と付き合っていたと知るまでは」
「えっ!?」
メローネさんが……ヴァイスさんの他に、王太子殿下と付き合っていた??
にわかには信じられない。
だけど、たしかに以前ヴァイスさんが言っていた。
メローネさんが…裏切ったという話を。



