「えー…ヴァイスさんがイッツアーリの背に!?ずるい!あたしにはろくに触らせてくれないのに」
あたしがむうっとほっぺたをふくらませると、ヴァイスさんが噴き出して涙目になった。
「……ごほん、とにかく。ドラゴンと竜騎士の絆が素晴らしく感じたのです。で、単純な私は竜騎士に憧れました。6つの頃です。そのころ、兄上は体調が安定して立太子が決まりました。
その時に兄上に言われたのです。兄上が知を、私が武をと。そこで決意をし、竜騎士を目指しました。そして、私は竜騎士の勉強と修行のためこの古城を父上から賜り、竜騎士団へ通うようになりました。そのため、兄上やメローネとはあまり会えず、次第に距離ができていきました」
喋り疲れたのか、ヴァイスさんはひと息つく。
すぐそばに、あったデキャンタから水をグラスに注いで渡せば、「ありがとうございます」と喉を湿らせてから話を再開した。
「私も兄上も、メローネを好きでした」
当たり前だった事実だけど、やっぱりヴァイスさんの口から聴くと胸が痛む。それでも逃げまいと拳に力を込めて彼を見据えた。
「メローネも、嫌ってる様子はありませんでしたから…どっちつかずな微妙な関係は私が竜騎士となった13の年に変わりました。思いきってメローネに告白したら、彼女は受け入れてくれたのです“私も好きだった”…と。あの時は、最高に幸せで天にも昇る心地でした」



