クロップス卿はリリアナさんによく顔が似てる。
プラチナブロンドと黄金の瞳。
そして、性格も高位貴族と竜騎士に相応しく、清廉潔白で実直なお方だ。
「アリシアさん…だったね?」
「あ、はい。アリシア・ブルームです。リリアナさんにはいつもお世話になってます」
まさか、皆が憧れる竜騎士団の団長から直々に声を掛けていただけるなんて。
特に、憧れの竜騎士で名前が出るのがヴァイスさんの次に多い、竜騎士見習いなら誰もが理想とするお方だ。イッツアーリとの見事なパートナーシップは理想的で、誰もが認める実力。
ここに来て2か月経つけど、いつかお話ししてみたい…と考えてはいたけれども。まさか、こんな形になるなんて。
「娘からよく話は聴いているよ。リリアナこそお世話になっているようだね」
クロップス卿は温和な表情と同じく、声も言葉も穏やかだ。
「い、いえ!こちらこそ…リリアナさんは素晴らしい竜騎士の素質があるので、どんどんいろんなことを吸収し身につけてらっしゃいます。有望な竜騎士になられるでしょう」
慌ててそう返すと、クロップス卿は爽やかに笑う。
「はは、ありがとう。娘に言えば喜ぶと思うよ」
「…いえ、たぶんあたしが言っても“余計なお世話ですわ!”とおっしゃるだけかと…」
「よく娘のことを理解してくださってる…あれはなかなか素直になれないが、根は優しい娘なのだ。これからもよろしく頼むよ」
「はい!あたしでよろしければ……」



