龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?


「……実は内緒で、と言われたのですが」

唐突に、ヴァイスさんが話し始める。

「メローネから、“竜騎士団の毒物混入の犯人を知っている”と言われたんです」
「……えっ」

ヴァイスさんの話は衝撃的だったけど、次にさらにショックを受ける言葉が出てきた。

「それは……一体誰が…?」
「……メローネが言うには……」

数秒間逡巡の後、ヴァイスさんは重い口を開く。

「あなたです、アリシア」
「……は?」

今、なんて言われたんだろう?頭が理解を拒む。

「竜騎士団のドラゴンが体調を崩す原因となった毒物を、あなたがドラゴンの食事に混ぜた……と、メローネは言っていました。証拠も、目撃情報もあるそうです」
「……はぁ?」

思わず、故郷での口調が出てしまっていた。

「なんですか、それ!?あたしはむしろウゴルを取り除いてますし、ヴァイスさんや他の人にも逐一報告して対策を促してましたよ!?」
「ええ、わかっています。私はあなたが犯人とは微塵も思っていません。あれだけドラゴンを大切にするあなたが、なんの目的があろうと苦しめるようなことをするはずがありませんから」

ヴァイスさんのその言葉は、あたしの混乱気味の頭にゆっくり染み渡る。やがて落ち着いたあたしは、ヴァイスさんに訴えた。