「すぐに婚姻の手続きを行おう。そして結婚式は素敵なものにしよう」
26人の令息たちと婚姻を結んできたが今日ほど幸せを感じた日はない。
(ジェラール様となら何があっても絶対に幸せになれるわ)
そんな確信めいたものを感じ取っていると、不意に背中にぞくりとしたものが駆け抜け、胸の辺りがざわざわと騒ぐ。
「……?」
突然のことにアリシアは首を傾げる。
きっとこれは喜びからくるもの。幸せを目の前にして少し怖くなっているだけ。
アリシアがゆっくりと深呼吸をしていると、甘やかな微笑みを浮かべるジェラールの顔が近づいてくる。それに気づいたアリシアは、ゆっくりと目を閉じるのだった。