いろんな初めてまでの道のりは長いけど、絶対甘い。

『……夢?』

『夢じゃないよ。俺は桃奈ちゃんのことが好きで、付き合いたいって思ってるよ。』

『……本当? 本当に、夢じゃない?』

『うん、夢じゃない。……俺の恋人になってくれる? 桃奈ちゃん。』

 答えは、告白するつもりだったからとっくに決まっていた。

 もちろん、あれしかない。

『うんっ……! 私、琴巴君のこと好きだから、恋人になりたいっ。』

 これが、私の初めての恋で初めての恋人ができた瞬間。



 それから約半年が経ち、今もお付き合いしている。

 私としては、恋人関係になれただけで嬉しい。それ以上なんて、望まないつもり……だけど。

 ……私はまだ、琴巴君とキスした事がない。

 けど、そりゃそうかもしれない。

 ハグをしたのだって付き合ってから三か月経ったくらいだから、キスはハードルが高い。

 私もきっと心臓が持たないだろうし、もう少し先でも良いかなってそれまでは考えていた。

 でも、やっぱり不安になる。

 私から仕掛けてみようと考えた事もあるけど、結局毎回ハグが限界。