いろんな初めてまでの道のりは長いけど、絶対甘い。

 それで咄嗟に、琴巴君の服を引っ張ってしまっていた。

『いや……こんな事、ダメだって分かってるけど……寂しいから、い、居て?』

『いいよ。でもまず、洲上さんは横にならないとね。』

 どうしてあの時、琴巴君が了承してくれたのかは分からない。

 私と琴巴君は三年間同じクラスだったけど、自主的に話す事は少なかった。

 ほとんど面識がないはずなのに、一緒に居てくれた理由。

 ……それは、高校生になってから分かった。



 私が夏風邪を引いた後、治ってからちょくちょく琴巴君と話す事が増えた。

 琴巴君を家に招き入れた事で距離が縮まったのか、その頻度は増えて。

 たまにだけど、二人で遊びに行ったりする事もあった。

 多分、あの時から私は琴巴君に恋していた。

 琴巴君と居るだけで楽しいし、話せれたら嬉しいし、もっと仲良くなりたいってよく考えたから。

 私にとっての、初めての恋。

 でも告白する勇気はなくて、そのまま高校生に上がってしまった。

 するとまさかの琴巴君と同じ学校で、同じクラスで。