私は洲上桃奈(すがみもな)、高校一年生。

 趣味は読書、特技はお菓子作りという一般的な女子。

 ……でも、そんな私には一般的とはかけ離れている彼氏がいる。

「桃奈ちゃん、寒くない? クーラーの温度上げようか?」

「ううん、大丈夫っ! 私は平気だよ!」

「そっか、もし暑かったり寒かったりしたら言ってね?」

「うん! ありがとう琴巴君っ。」

 それが、この彼。

 笑った顔は天使級、何でもできてみんなの憧れの的。

 おまけにかっこよくて、大好きな男の子。

 名前は加賀良琴巴(かがらことは)君。私と同じ高校一年生。

 私にとって、初めての恋人。

 どうしてごく普通の私が、学校で人気者の彼と付き合う事になったかと言うと……。



 約一年前、中学三年生だった私は少し病弱気味だった。

 幼い頃から流行り病にかかりやすく、少しの事でも風邪を引いたり熱を出してしまうくらい。

 そのせいで学校を休む事も多くて、夏休み前に夏風邪にかかってしまったんだ。

 症状も重たくて、自分じゃ動けないくらい酷くて死んじゃうかと思った。